
ディスプレイ広告におけるクリエイティブの種類・フォーマットを解説

吉岡 佑
佐賀県出身。GMO グループ、アナグラム株式会社などの広告運用専門会社にて大規模広告の運用に従事した後、2021年に当社に参画。
前の記事
【ディスプレイ広告】 GDN・YDAのターゲティングについて徹底解説
はじめに
前回の記事では、GDN、YDAにおける「ターゲティング」についての解説をしました。
本記事ではそれに続き、ディスプレイ広告におけるクリエイティブの種類について概観していきます。
また、GoogleアプリキャンペーンとYouTube広告についても軽く触れておきます。
ディスプレイ広告の種類:テキスト広告、動画広告、画像広告の違いを知る
検索連動型広告(リスティング広告)が基本的にテキストのみで構成されているのに対し、ディスプレイ広告の構成要素は広告枠(面)次第でじつに多様です。
表示される広告の構成要素(テキスト、静止画、動画)は、広告枠を持つメディア側の設定次第です。テキスト、静止画、動画それぞれの情報量は大きく異なります。
一般にテキストよりも画像、画像よりも動画の方が印象に残りますが、サイズによっても見え方が変わってきます。
例えば記事広告のようにテキストと写真でページ全面を埋めた場合と、小さな動画の広告とでは、どちらの方がインパクトがあるでしょうか?
このように出稿したいメディアに合わせて、どんな素材を用意するべきかを広告主は考える必要があります。
フォーマット①:テキストと静止画
静止画のみ(バナー)、あるいはテキストと静止画を組み合わせたフォーマットです。
ディスプレイ広告におけるもっとも一般的な形態と言えます。
主な成果指標はクリック率(CTR)であり、さまざまなところで目にするため、成果指標が即時的に反映されやすい点が特徴です。
動画
動画広告は、ビジュアルでの訴求力が高く、主にエンゲージメント面への成果に直結しやすい点が特徴です。
TVCM的、WebCMに近いため、ブランディングなど副次的効果も期待できます。
YouTube、Instagram、TikTokといったSNSの普及で動画がずいぶん身近になりました。
主だったSNSすべてに動画が配信できるようになったので、今まで静止画で事足りていた広告も動画を使った方が成果が出やすくなってきています。
ただし動画広告が身近になり製作費が安くなったとは言え、動画1本作るのはたいへんです。まだまだコスト面では厳しいと言えます。
そのせいか動画広告はSNS中心の傾向があり、ディスプレイ広告では、まだこれからという状況です。
レスポンシブディスプレイ広告の概要
GDN、YDAでは 「レスポンシブディスプレイ広告」 が設定可能です。
アップロードされたアセット(画像、広告見出し、ロゴ、動画、説明文)がAIによって組み合わされ、広告枠に配信されます。
あるサイトでは静止画のみのバナー広告として、またあるサイトではテキスト+バナーで……といった具合に、広告枠のサイズやデバイスの画面サイズに応じて、最適な組み合わせが選択される点が特徴です。
またリスティング広告と同様に、効果が出やすい組み合わせを自動で選択してくれる点も特徴です。
これにより、クリエイティブの組み合わせを検討するために必要な時間が大きく減り、よりPDCAを効率的に回すことができるといったメリットもあります。
Googleアプリキャンペーンを知る
Googleアプリキャンペーンは 自社アプリの普及を重点的に行いたいときに利用する サービスです。
キャンペーン設定の際に、目標を「アプリのインストール」にすることで設定可能です。
設定すると、広告のクリックでユーザーがGoogle Play StoreやApp Storeに遷移します。
一般の広告と異なる点は、広告枠に「インストール」という文字が表示されることです。
広告の目的がアプリのインストールである場合は、アプリキャンペーンを使いましょう。
設定はほぼ全自動で「どのアプリを宣伝するか」という部分を別とすれば、設定できる部分はごくわずかです(地域や言語程度)。
アプリキャンペーンの掲載面は、以下の通りです。
- Google Play
- Google 検索ネットワーク
- Google検索のDiscover
- GDN
- YouTube
Googleが持っている全ての広告枠をつかって配信することが可能になっています。
関連する他社の広告として、Appleが持っているApp Store内のアプリ用広告枠があります
(当然のことながら、Googleの広告枠であってもApp Store内のアプリのインストールを仕向けるような広告が出稿できます)。
なお、気をつけなければならない点が2点あります。
アプリストアでの情報が充実していなければ、アプリストア・キャンペーンはうまく機能してくれません。
設定が全自動なのと引き換えに、GoogleのシステムはGoogle Play、もしくはAppleのAppStoreを参照してアプリキャンペーンの広告を生成・配信します。
したがって自社のアプリ情報が充実している必要があります。アプリキャンペーンでは、課金すれば必ず自社のアプリの広告が表示されるわけではありません。
アプリ内容や広告アセットの関連性をGoogleが判断し、表示の順番もパーソナライズされます。オークション形式での入札ということもあり、他社の広告が表示されることもありえます。
YouTubeに出稿する
ここで予備知識としてYouTube広告についても軽く触れておきましょう。
YouTube広告はGoogleの広告メニューのひとつです。
ディスプレイ広告内の動画(Webサイトやアプリ内で配信されます)がGDNから出稿できるのに対し、YouTubeの動画広告はYouTube用の動画キャンペーン経由でしか出稿ができません。
YouTube広告はGDNの管轄外です。
YouTube広告で必要な施策は、以下の4点に集約されます。
面 :デバイス、トピック、キーワード、プレースメント(YouTubeの特定のチャンネル)。
人:ユーザーリストの設計(属性、興味関心、YouTube動画広告へのアクションなどターゲティングを駆使する)。
クリエイティブ:非常に重要。広告主の腕の見せ所。変数として大きい。
入札:検索連動型広告以上に自動化が進んでいるので対応が必要。
おわりに
前回の記事に続いて、本記事ではディスプレイ広告におけるクリエイティブの種類について解説しました。
最後に、本記事の内容を簡単におさらいしてみます。
- ディスプレイ広告のクリエイティブは大きく「静止画+テキスト」と「動画」に分けられる。
- 「静止画+テキスト」は成果が即時的に反映されやすく、成果指標(CTR)が計測しやすい。
- 「動画」は高コストだが、ビジュアル面での訴求力が高く、ブランディングに寄与しやすい。
- 「レスポンシブディスプレイ広告」は、静止画、テキスト、ロゴ、説明文、動画が、効果や広告枠のサイズによってAIによって組み合わされ、自動で配信される。
- Google広告では、アプリのインストールが広告の目的の場合、Googleアプリキャンペーンが設定可能。
- YouTube広告は、GDNの管轄外であり、YouTubeからしか出稿ができない。
以上がディスプレイ広告における、クリエイティブの種類の解説となります。
本記事が、読者の皆様の理解の一助になれば幸いです。
次の記事